迷路を抜けてしまった発達障害者
精神科医の中井久夫さんが、どこかで、柳田邦男さんの大事故論を参照しながら、「迷路は普通は抜けられないが、何かの拍子に出られることがある。統合失調症の発症も、そのようなものではないか」と述べていたと思います。佐世保市女子高校生殺人事件の加害者少女も、「何かの拍子に迷路を出てしまった」発達障害者(現在の表現では「自閉症スペクトラム」の患者)だろうと思います。高岡健氏のいうように、決して発達障害が少年犯罪を引き起こすのではありません。発達障害の患者を取り巻く「関係の貧困」が少年犯罪を生むのです。母親の急死・父親の直後の再婚・マンションでの一人暮らし・高校への不登校ー悪い条件が重なってしまった不幸な例だと思います。