精神療法の危険性

(6)さまざまな療法を、しばしば同時に受けて、わけがわからない状態になっている場合。「医原性難症」
 中医学でいう「壊病(えびょう)」であろう。
 結構ある。特に、薬を恐怖して精神療法を無害だとする人がある 。薬は排泄されればおしまいである。精神療法のほうがはるかに永続的な影響を残す。失恋の痛手が生涯忘れられないのと似ている。体の傷のほうはこれほど執拗ではない。精神療法の「有効性」(傍点)を物語るものは何よりもその「失敗例」(傍点)の無残さである(中井久夫「難病論」『隣の病』ちくま学芸文庫、2010年(初出1992年)、pp.85-86)。


*カウンセラーはもちろん、宗教者も注意すべきことです。日本のジャーナリズムは、製薬会社の利権の臭いがする各種の抗精神薬をめぐる問題には結構敏感に反応しますが、各種の精神療法の問題点については、ナイーヴだという印象があります。


現代日本における「認知行動療法ブーム」への疑問ー宗教学の立場からー
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20130922/p1