強迫性格と攻撃衝動

 強迫的な人たちは、はげしい攻撃衝動を内に秘めていることが多い。彼らは、この攻撃衝動を自覚するとき、きわめて不安になる。この、自己の攻撃衝動に対して起こす不安に対して、自己を防衛するものが強迫性格であるという説明は一応受け容れられる説明である。事実、強迫行為、たとえば整頓癖を無理に抑えるとはげしい不安がおこる。この防衛的性格は通常決して意識されない(中井久夫「サラリーマン労働」『「思春期を考える」ことについて』ちくま学芸文庫、2011年(初出1970年)、p121)。


*笠原嘉氏が指摘するように、青年期の精神病理の多くの背後に「強迫的性格」が存在することと考え合わせると、興味深い指摘です。ある意味では、「ひきこもり」や摂食障害の背景にも、「不安」があるのであり、だからこそ自助グループによる「回復」が有効なのでしょう。