自罰的から他罰的へ

 心理学科の学生を対象とした宗教心理学演習で、アダルトチルドレン問題の話はみんな面白がるのですが、内観療法の話をするとたちまち出席者が減ってしまいます。やはり先進諸国では、中井久夫氏が指摘するように、世間の風潮が、「自罰的から他罰的へ」と変化しているのでしょう。島薗流にいえば、「自己の悪」を見つめる力が弱くなっています。自己肯定感は、自己の内なる「神性」「仏性」に対する宗教的信念を要求しますが、それも弱体化している印象です。