エリクソンとサリヴァン

 日本の「宗教心理学」では、どうしてエリクソン(1902-1994)が抜群に人気があり、サリヴァン(1892-1949)はほとんど取り上げられなかったのか、考えてみました。その最大の理由は、「宗教心理学」に興味を持つ研究者には、「天明期以来の近代民衆思想」(安丸良夫)である「再建の倫理としての勤勉と工夫」(中井久夫)を強く内面化した「執着性気質」(下田光造)の人が多く、「S(統合失調症)親和者」(中井久夫)が少なかったことにあるのではないでしょうか。ちなみに、エリクソンプロテスタントでしたが、サリヴァンアイルランド系のカトリックでした。


またよく言われることに、彼(熊田註;サリヴァン)はしばしば神を複数で使ったという(gods protect youといった挨拶などで)(中井久夫サリヴァン」『「思春期を考えることについて』ちくま学芸文庫、2011年(初出1981年)、pp.281-282)。