スマホ依存と「斜めの関係」

スマホ依存を治療するための野外キャンプの試みの紹介です。 https://youtube.com/watch?v=rHEHakyxx-U… 子どもたちに大学生のメンターをつける、というのがミソでしょう。「無用者との斜めの関係」を通して精神的に成長させているのだと思います。 https://…

村上春樹と実存主義的なもの

村上春樹のデビュー当時のインタビュー「半年間くらいフランス語をやって、カミュの『異邦人』を読んだんですよ。…あれ読んでから、書こうかなという気になった」「私の文学を語る」(聞き手・川本三郎、『カイエ』1979年8月号)。 *村上春樹の出発点からあ…

オウム真理教とグノーシス主義的なもの

あまり知られていないことですが、オウム真理教の信者には、ヘルマン・ヘッセが修行者を描いた小説『シッダールタ』の愛読者が少なくなかったようです。大衆化したグノーシス主義的なものが、事件の底流にあります。 https://books.rakuten.co.jp/rb/1718165…

「機責め」を禁止する法律の必要性

旧統一教会問題に関して、人間の相互作用を重んじる社会学では、そもそも「マインドコントロール論」を認めません。私は、宗教団体は浄土真宗でいう「機責め」(相手の罪悪感を煽り立てる危険な布教)をしてはいけないという法律を考えれば良いのではないかと…

新海誠『天気の子』とジェンダー

テレビで、新海誠の大ヒットアニメ『天気の子』を見ました。空と都市の絵は見事でしたが、「天気の巫女は人柱」という設定、「少女の胸」にこだわった視線に、ジェンダー保守を感じました。もちろん、ジェンダー保守の作品だからこそ、大ヒットしたのでしょ…

弱者嫌悪

「弱者への愛には殺意が満ちている」(安部公房) *絵に描いたような弱者嫌悪(ウィークネス・フォビア)(上野千鶴子)です。安部公房も、「男らしさという病」から自由でなかったようです。

民間精神療法・生命主義・グノーシス主義

明治時代の近代的な心身二元論に反発する形で、大正時代に全盛期を迎えた民間精神療法のブームは、その後、一方では大正生命主義と合流して一般大衆向けに新宗教の生命主義的救済観となり、他方では、人文書院がヘッセやサルトルの翻訳を広めるという形で、…

複雑性PTSD

「 生きとし生けるものは皆、複雑性PTSDである。そして生育の中での自然発生的なトラウマ焦点化治療が起こっているからこそ、なんとかまあまあ平和そうに日々を生きているに過ぎない」(神田橋條治)。 *ごもっともです。

「解説者」という援助法

発達障害に対する支援として、多くの指導が行われている。指導は必要でありとても重要であるが、行動を指示する「指導者」よりも、状況を解説する「解説者」のほうが灰色事例には重要である(青木・村上(編)『大人の発達障害を診るということ』医学書院、2015…

利他主義の本質主義的説明に向けて

人間の利他主義の本質主義的説明は、不毛であるとされてきました。しかし、考古学の最近の成果を踏まえると、可能ではないでしょうか。約7万年前のスマトラ島のトバ火山の大噴火によって、気候の寒冷化が起こり、現生人類は絶滅寸前にまで追いやられ、アフリ…

思想史のなかのジェンダー研究

私は、上野千鶴子さんの女性学は、江戸時代以来の「女性の侠気」の伝統に、「男たちよ、男らしく男らしさの鎧を脱ごう」という伊藤公雄さんの男性学は、明治武士道の伝統に連なっていると思っています。上野千鶴子さんの方が大衆性がある所以です。 https://…

小野泰博先生

私は、若い頃から、師匠の島薗進先生を目標にするなどという無謀なことは、一度も考えたことがありません。一貫して、故・小野泰博先生を目標にしてきました。生前は知っている人は知っている、死後も細々とながら読み継がれていく、という地味だが渋い研究…

認知行動療法ブームへの疑問

認知行動療法を推進するセラピストは、エビデンスがあると主張します。しかし、認知行動療法のプログラムを完遂できる人は、知能が高くて健康な人だけで、もともとそういう人が受けているので、効果があったかのように見えるのではないでしょうか。

ギャンブラーズ・アノニマス

GAについての優れた紹介動画。これがわずか1000余りのアクセスとは、お寒い限りです。 www.youtube.com

12ステップ

12ステップについてのわかりやすい解説。 www.youtube.com

人の為と書いて偽りと読む

私は、天理教でいう「人たすけたら我が身たすかる」というような教えを信じています。しかし、自助グループでいうような「人の為と書いて偽りと読む」という言葉も、対人援助職に関わる者の心構えとして、忘れてはいけないと思います。

鉄のようにかたい網(ネット)

以上の文章でウェーバーは、しばしば「鉄の檻」と訳される有名な修飾表現(メタファー)を用いている。筆者はこの「鉄の檻」を「鉄のようにかたい網(ネット)」と訳した。いまの資本主義のシステムが「鉄の檻」だと表現しても、なかなかそのようには感じられな…

草刈場としての天理教

・天理教の若者たちは信仰心が篤く素直なために、統一協会にとって有力な人材供給元となっており、統一協会は天理教のことをアベル教団と呼んでいた(アベルとは自分たちに従順に従うものを指す言葉)。・統一協会をやめた信者たちに話を聞くと、所属していた…

大本とジェンダー

https://www.eaa.c.u-tokyo.ac.jp/blog/20220411-18/ ジェンダーの観点から見ても、安丸良夫『出口なお』あるいは大本教は興味深く読むことができる。大本教では、開祖なおは「純粋できびしい正しさ」を特徴とする「変性男子」(へんじょうなんし)、聖師・…

大本の母系継承

神道系新宗教・大本(1892-)は、2人の教祖・出口なおと出口王仁三郎以来、教団を母系継承で運営しています。教主は女性(出口なおの血統)、その夫が組織運営責任者、という教団運営の仕方です。これは、男性リーダーを、サザエさんの比喩を用いれば、家長の波…

ちょうちょ結び

これは私の感覚なのですが、支援において人をつなぐときに、固結びのようにきっちり結んでしまうと、関係性が難しくなったときには切るしかなくなり、関係の切れ方によってはつながる先を失ってしまいます。ちょうちょ結べのように、しっかりつながりながら…

消費ミニマリズム

禅とともに人生を歩んだジョブズは、ミニマリストでもあった。ジョブズは1983年に、ペプシコーラ社の社長、ジョン・スカリーをアップル社のCEOにスカウトしたが、そのスカリーは、カリフォルニア州のジョブズの家に招かれたとき、「人が住んでいるという気配…

マスメディアに書評が出ました

「東洋経済オンライン」に、拙著のブックレビューが掲載されました。 https://toyokeizai.net/articles/-/617079?page=2 ビジネスマン向けの『東洋経済』に「人たすけたら我が身たすかる」という言葉が登場したのは、おそらく史上初です。

IT革命と天理教の新展開

現在私が調査している、月3回のこども食堂をうまく運営している天理教の分教会は、同時に生花教室を開いています。IT革命の進展で、人間の五感のうち、視覚と聴覚ばかりが酷使される中で、味覚と同時に、臭覚と触覚を再活性化しているのでしょう。

IT革命と人間の五感

精神科医の神田橋譲治氏が、たしか『精神科養生のコツ』のなかで、「花に接すること」を勧めていました。近年の急速なIT革命の中では、人間の五感のうち、視覚と聴覚ばかりが酷使され、味覚は消費社会のグルメで補えるとしても、臭覚や触覚は、軽視される傾…

トラウマ的記憶の処理

「人はどうして悲しくなると海を見つめに行くのでしょうか」という歌が昔ありました。波を見つめて目を規則的に動かす、というのがミソでしょう。トラウマ記憶に対するEM DR (眼球移動による系統的脱感作)による治療に通じます。歩き遍路も、同様でしょう。…

近代日本の任侠的キリスト教

国連事務次長だった新渡戸稲造、社会運動家にして「生協の父」だった賀川豊彦、アフガニスタンで人々の救済に尽くした中村哲、いずれもキリスト者(プロテスタント)にして、同時に「侠気」の伝統に強く共感していた点が共通しています。近代日本のキリスト教…

中村哲氏におけるキリスト教と侠気

https://note.com/nenkandokusyojin/n/n055ea06b8e6c アフガニスタン問題で有名な医師の故・中村哲氏は、有名な侠客の親分の孫だそうです。中村哲氏は、プロテスタント(バプテスト派)の信者でしたが、彼の社会貢献活動を支えたのは、むしろ「弱い者のために…

ヘレン・ケラーとスウェーデンボルグの神秘思想

https://www.sougiya.biz/kiji_detail.php?cid=1397より転載「眼に見えないものの存在は信じない」「自分の眼で見たもの以外信じない」という人がいるが、ヘレンには苦笑以外の何物でもないだろう。彼女にとっては、スウェーデンボルグの提示するヴィジョン…

殺さない殺し屋

話題の映画ファブルの1と2を見ました。面白かったのですが、漫画=映画るろうに剣心と似ていると思いました。片や、殺しを封じた天才元殺し屋の物語、方や、人斬りを封じた天才剣士の物語。どちらのヒーローも、身近な人たちを守るために、殺すことなく戦う。…