BDPとACの医療経済学

 境界性パーソナリティ障害は、薬さえ飲めば簡単に治るという病気ではありません。専門医が行う治療の中心は、対話しながら進めていく精神療法です。
 1回50分ほどの面接を週に1回程度継続していき、心のなかにある問題に気づき、それを上手に対処できるようにしていきます。
 問題は心の奥底にあるので、それを解きほぐすには、時間がかかります。2〜3年はかかると考えてください。


 長期間の治療にともなって、治療費もかさむのが現実です。
 パーソナリティ障害の治療は、原則的に健康保険が適用されます。ただ、長期間の保険治療は、病院側にとって経営面で問題になってしまいます。そのため、全額を負担する自由診療であるサイコセラピストやクリニックを紹介されることがあります。そうすると、高額になります。それでも障害を治したいと、アルバイトしながら治療を続けている人もいます。金銭的な負担も考え合わせながら、治療をはじめましょう(市橋秀夫(監修)『境界性パーソナリティ障害は治せる』大和出版、2013年、p70)。


*医療経済原則からいって、よほど金銭的・時間的に余裕がなければ、カウンセリングと同様にやはり「3年はかかる」(信田さよ子)としても、「境界性パーソナリティ障害と診断されてカウンセリングに通う」よりも「アダルトチルドレンと自己認知して、親子関係を再整理するために自助グループに通う」ことを選ぶ人のほうが多くなるだろうな、と思います。