境界性パーソナリティ障害の増加?

劇的に増えているわけではない


 境界性パーソナリティ障害が注目されるようになったのは一九七〇年代のこと。それ以前にくらべれば、たしかに「増えている」といえます。しかし、近年になって患者数が急激に増えている訳ではありません。この障害はパーソナリティ障害の一種ですので、パーソナリティ障害全般の診断基準を満たしたうえで、境界性かどうかの診断が下されます。こうした診断基準にぴったりあてはまるような、典型的な患者さんが増えているわけではないのです。


境界性パーソナリティ障害の診断を受けない場合もある


 とはいえ、現代の日本では、この障害に近い人はとても多く存在すると考えられています。
 そのなかには、一部の症状から「うつ病」などと診断され、「境界性パーソナリティ障害」という診断は受けていないという人も少なくないようです(牛島定信(監修)『境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』講談社、2008年、p52)。


*なるほど。