帝国主義的ノスタルジア

 アメリカの人類学者のレナート・ロザルドが『文化と真実』のなかで提示している「帝国主義ノスタルジア」という概念ー「ある人間が誰かを殺しておきながら、その犠牲者への哀悼に沈んでいる」というような逆説、攻撃的衝動を含むノスタルジアーは、使える概念だと思うのですが、日本の論文ではあまり目にしません。自分たちがいまアメリカに「支配されている」という自覚も、ましてやかつてはアジア諸国を「支配していた」という自覚も、乏しいからでしょう。梅原猛アイヌ文化礼賛などが、典型的な「自分たちが破壊したものを悼む」「帝国主義ノスタルジア」です。