名古屋市女性学生殺人事件について

 加害者の名大女子学生は、祖父も父親も大学の研究者だったそうで、自閉症スペクトラム障害発達障害アスペルガー症候群)の遺伝的因子を引き継いでいることは、容易に想像できます。大学の研究者には、自分を含めて、アスペ入っている人が多いと思います。しかし、精神科医神田橋條治がいうように、(基本的には先天的な脳疾患である)「発達障害者は発達する」。祖父も父親もまともな社会人だったのだから、生育環境、あるいは医療環境によっては最低でもそこまでは「発達」できたはずです。
 やはり、現代の子供を取り巻く社会環境、(身体を使った、脳を「発達」させる)「遊びの貧困化」と、一部の子供に「死にたい/殺したい」という願望を抱かせる「人間関係の希薄化」が、事件の背後にあると思います。「死にたい/殺したい」願望と現代日本における「人間関係の希薄化」の関係については、拙著『男らしさという病?』の中の「官僚制消費資本主義社会と宗教倫理のセラピー化」をご笑覧下さい。