発達障害/なんでも社会のせい?

「最近のいろいろな青少年の事件のなかで理解困難な内容のものが何例かありますね。多分発達障害です。誰も言わないけれど、どこかで誰かが言わなくてはいけない。社会に原因を押しつける今までの考え方ではこの事態は解決しない、もう少し個々のケースを精密によく検討して、その子の育ってきた心の軌跡をみなければいけないとかは言っているけれど、喉元まで出かかっているけど言わないというのが透けて見える気がする。事実をちゃんと認めないと、どうしようもない」(療育技法マニュアル 第18集 「発達障害とのかかわり」 小児療育相談センター発行)(神田橋條治発達障害は治りますか?』花風社、2010年、pp.51-52)


佐世保市女子高校生殺人事件を考える上で示唆的な意見です。加害者少女が小学生のとき、学校給食に異物を混入した時点で、きちんと精神科医の治療を受けさせる必要があったのでしょう。


*この文章を書いた直後に、佐世保女子高生殺人事件の加害者少女の父親が自殺しているのが発見されたようです。
 事件に責任が全くなかったとは思いません。しかし、責任を感じるなら、自殺するのではなく、発達障害(最近は「自閉症スペクトラム」)についての正しい知識を社会に普及させる努力をすべきだったと思います。