佐世保女子高校生殺人事件と日本の精神科医療

http://digital.asahi.com/articles/ASG846GB9G84TIPE029.html?iref=comtop_6_01 より転載
少女の問題行動、学校も把握 父への暴行など 佐世保


 長崎県佐世保市の県立高校1年の女子生徒殺害事件で、殺人容疑で逮捕された同級生の少女(16)が通っていた学校側が、父親をバットで殴って大けがをさせるなどの少女の問題行動を事件前に把握していたことが4日、関係者への取材でわかった。県と県教委は、関係機関の少女への対応について検証を進めており、学校側の対応に問題がなかったか調べる。


■義母に「人殺してみたい」


 市教委や捜査関係者などによると、少女は小学6年のとき、同級生の児童2人の給食に5回にわたって漂白剤などの異物を混ぜた。中学ではネコを何度も解体。今年3月には、自宅で寝ていた父親を金属バットで殴り、頭などに大けがをさせた。
 関係者によると、少女は4月、佐世保市内のマンションで一人暮らしを始めた。同時期に入った高校にはほとんど通わず、学校関係者が少女宅に通って様子をみるなどしていた。こうした中で学校側は、異物混入やネコの解体、父親への暴行といった少女の問題行動について把握したという。
 県と県教委は、少女の情報が学校内で共有されていたかなどの調査を進めている。少女の通う県立高校の校長は、朝日新聞社の取材に対し、「少女に関するコメントは一切できない」と話している。
 一方、少女の父親の代理人弁護士は4日、少女が事件の3日前、精神科病院に向かう途中の車内で、父親が再婚した新しい母親に「人を殺してみたい」という趣旨の発言をしたと明らかにした。母親は診察の際に医師に伝えたが、医師から「時間がないから次回にしてくれ」と打ち切られた、と説明している。
 代理人弁護士によると、事件前日の7月25日には、両親と医師、カウンセラーの4人で今後の対応を検討。父親は入院を提案したが、医師が「難しい」と応じ、児童相談所に相談することにした。両親は病院からの帰途、車内から佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)に電話をかけたが、当直の守衛が対応、「月曜日(28日)に電話してくれ」と言われた、と代理人弁護士は説明している。父親はその後、日曜でも相談できることを知り、27日に相談に行くつもりだったという。
 少女は26日午後8時ごろに同級生の女子生徒を殺害した容疑で、27日早朝に長崎県警に逮捕された。


*退院可能な「患者」を大量に「社会的入院」させているくせに、こういう本当に入院が必要な患者を拒絶したというところに、日本の精神科医療の抱えている構造的矛盾を感じます。