加害者理解について

(前略)反省すれば、私たち精神科医は良心や健康な罪悪感をなおざりにしてきた嫌いがある。多くの犯罪者は自らの犯行現場や被害者の夢に耐えられなくなって自首すると聞く。この悪夢は精神医学的にはPTSDの一症状だが、良心とは関係がないであろうか。ベトナム帰還兵のPTSDは被害者だった兵士よりも加害兵士のほうが重症である。これは人間性に微かな希望を持たせる事実である(中井久夫「ある家裁調査官と一精神科医」『時のしずく』みすず書房、2005年(初出2002年)、p208)。


*DVや虐待の問題を考える上でも示唆的な意見です。