「おっぱい水割り」について

 私が小学生の頃読んだギャグ・マンガ(題名は失念)の中で、成人男性たちがバーで「おっぱい水割り」を注文するという場面がありました。私の記憶に強く残っているのは、おそらく私が親にあまり「甘えない」子どもだったからでしょう。フェミニストは、このマンガに対して、保守的な男性は女性を「聖母か娼婦か」(田中美津)に分断し、バーの「ママ」に「聖母」を求めるのだと嘲笑するかもしれません。
 しかし、精神科医中井久夫は、精神健康の基準のひとつとして、「可逆性に退行する能力(=赤ちゃん返りが出来る能力)」を挙げています。男性だけではなく女性にもまた、男性にとってのバーのような「可逆的に退行できる(=赤ちゃん返りができる)」場所を制度的に保証するべきではないでしょうか。


* 引用
中井久夫:精神健康の基準について(中井久夫著作集6 個人とその家族)
pp.175−183,岩崎学術出版社,1991.