村上春樹のウディー・ガスリー論
(前略)しかしガスリーが一貫して持ち続けた、虐げられた人々のための社会的公正=social justiceを獲得しようとする意志は、そしてそれを支えたナイーブなまでの理想主義は、多くの志あるミュージシャンによって継承され、今日でもまだ頑固に―意外なほどと言ってもいいだろう―その力を維持し続けている。歴史的情景を精密に、生き生きと手書きで記録しようとする国民詩人的トラディションもまた、何人かの引き受け手をみつけている(村上春樹「ウディー・ガスリー」『意味がなければスイングはない』文春文庫、2008年(初出2005年)、p323)。
*こういう文章を読むと、村上春樹はさすがに上手いな、と思うのですが・・・・・・。どうして小説となると「都市インテリの知的意匠」みたいな作品を書くのか、不思議です。