村上春樹の音楽論

(前略)しかし、真に優れた音楽とは(少なくとも僕にとっては、ということだけれど)、詰まるところ、死の具現なのだ。そして、その暗黒への落下を、僕らにとって耐えやすいものにしてくれるのは、多くの場合、悪の果実から絞り出される濃密な毒なのである。その毒がもたらす甘美な痺れであり、時系列を狂わせてしまう、強烈なディストーション(ゆがみ)である(和田誠村上春樹『ポートレイト・イン・ジャズ』新潮文庫、2004年(初出1997年)、pp.84-85)。


*一見ビョーキっぽい私よりも、一見健康的な村上春樹氏のほうが、魂の深いレベルで病んでいるのでしょう。