精神健康の基準

1.分裂する能力、そして分裂に耐えうる能力
 たくさんの自分がいてあたりまえ
2.両義性(多義性)に耐える能力
 矛盾があってあたりまえ
3.二重拘束への耐性
 なんとか折り合いがつけられる
4.可逆性に退行する能力
 赤ちゃん返りが出来る能力
5.問題を局地化する能力
 「それはたまたま」と思えるか
6.即座に解決を求めないでおれる能力、未解決のまま保持できる能力、迂回できる能力、待ち能力
 あいまいなままで待っていられるか
7.一般にいやなことができる能力、不快にある程度耐える能力
 いやなことはいやと感じられる
8.一人でいられる能力
 自分の事に没頭できる
9.秘密を話さないでもちこたえる能力、嘘をつく能力
 親離れのしるしでもある
10.いい加減に手を打つ能力、意地にならない能力、いろいろな角度から物をみる能力、しなければならないという気持ちに対抗できる能力
 「ま、いいか」と思える
11.現実対処の方法を複数持ちあわせていること、現実対処能力を使いきらない能力
 あの手、この手で考えられる
12.自分の内と外におこる変化を感じ取る能力、身体感覚
 疲れを感じられる
13.独語する能力、妄想能力
 健康人は妄想慣れしている


引用
中井久夫:精神健康の基準について(中井久夫著作集6 個人とその家族)
pp.175−183,岩崎学術出版社,1991.