ひきこもりと「引き出し屋」

Q. 待つだけでは何年たってもひきこもりから出てこない、待つことによって、10年、20年と無為にすごしてきたひきこもりもいるというのですが。
高岡 いわゆる引き出し屋の主張ですね。「早く出ろ、早く出ろ」と念じながら待つのと、こころゆくまで引きこもることができるよう、安心できる居場所を提供しながら、大人は自分の好きなことしているのとでは、まったく意味合いが違います。前者のように追いつめれば、せっかくの自分との対話が進められなくなるだけです。
 10年、20年と引きこもる人には、そうするだけの必然性があり、その期間中にも価値をつむぎだしているのであって、そもそも無為などではありません(高岡健不登校・ひきこもりを生きる』青灯社、2011年、p156)。