『バガボンド』と『3月のライオン』

 『宮本武蔵』(吉川英治原作)による井上雄彦のマンガ『バガボンド』と、アニメ化され実写映画化も決定した羽海野チカのマンガ『3月のライオン』を比較してみましょう。両者とも、「道」(日本では、心身を練り上げるという広い意味での宗教的な「修行」)に生きる求道者をヒーローに選んでいる点は同じです。しかし、『宮本武蔵バガボンド』が「恋愛は求道の邪魔である」としているのに対して、『3月のライオン』は、「恋愛と求道の両立」を描いています。「ワーク・アンド・ライフ・バランス」が謳われる時代に即した設定です。