境界例とアダルトチルドレン運動

 境界性パーソナリティ障害の人は、回復のために役立つ情報を真剣に求めています。また、自力で回復することを目指す人も多くいます。このようなセルフヘルプの考え方は、回復にとってきわめて重要です。その理由は、この疾患に、症状や問題行動に対してもっとも大きく貢献できるのが患者自身だという性質があるからです。医療機関での治療の中でも患者のセルフヘルプは大きな比重を占めています。
 もちろん、医療機関にかかっていない人では、セルフヘルプが特に有力な回復手段になります。先に記したように、境界性パーソナリティ障害では、治療を受けていない人が大多数を占めています。そのような人々は、十分な機能を維持できているだけに、大きなエネルギーをセルフヘルプに注ぎ込むことが可能であり、セルフヘルプによる高い回復可能性を見込むことが出来ます(林直樹「監訳者解題」タミ・グリーン『自分でできる境界性パーソナリティ障害の治療ーDSMー4に沿った生活の知恵ー』誠信書房、2012年、p118-119)。


*日米におけるアダルトチルドレン運動の定着が想起されます。