支配したい母ー独占したい子

 「苦労」を強調することによって、子どもを「支配」しようとする母親と、(「無関心な父」および)自分の「独占欲」の強さゆえに、そういう母親から精神的に「親離れ」して自立できない子ども、というのは、今でも日本社会でよく見かけるねじれた母子関係です。日本では、俗にも「マザコンは独占欲が強い」といいます。「テーマはアダルトチルドレン」という人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」では、惣流・ラングレー・アスカが、「独占欲」ゆえに「親離れ」できない子どもの典型でした。
 昔中国の仏教説話で読んだ、ひょうたんから手が抜けない猿の話を思い出します。猿は、ひょうたんの中の米を握りしめて、「ひょうたんがとれない」ともがき苦しんでいるのです。「独占欲」を捨てて米を握りしめることを止めれば、ひょうたんから手が抜けるー「親離れ」できるーのに。