芸術・文化と境界性パーソナリティ障害

 境界性パーソナリティ障害が現代の時代的特徴を映し出す精神疾患であるならば、そこに認められる不安や葛藤は現代を象徴するものといえるでしょう。現代の文化や芸術は、この境界性パーソナリティ障害の心性、もしくはそれと根を同じくする現代人に特徴的な心性を確実に捉えてきました。ここではそれを簡単に紹介しましょう。
 芸術・文化と境界性パーソナリティ障害の間には、さまざまな接点があります。まず、もっとも直接的なものは、境界性パーソナリティ障害の人が芸術的文化的な活動を展開する中で、その心性を表現することでしょう(林直樹「解題」タミ・グリーン『自分でできる境界性パーソナリティ障害の治療ーDSMー?に沿った生活の知恵ー』誠信書房、2012年、p85)。


現代日本の若者の一部にカルト的な人気のあるロック・バンド「神聖かまってちゃん」、特にボーカルの「の子」のことが浮かびます。「の子」は、境界性パーソナリティ障害で精神科に通院中であることをカミング・アウトしています。