脳器質性と内因性

 最後に、脳器質性と内因性との間にある今日考えられる差とは何か。
 脳の病変が直接無媒介的に精神症状を生み、両者の間に「隙間」ないし「隔たり」のまったくかほとんどない場合を脳器質性といい、脳の病変と精神症状の間にけっこう「隙間」ないし「隔たり」があって、そこに人格だとか運命が介入してくる。そういう場合を内因性と考えれば多少整理がつくのではないでしょうか。小精神療法が統合失調症にも必要だというのはこの「隙間」があるからだといえましょうか(笠原嘉「精神医学における内因性概念について」『外来精神医学という方法』みすず書房、2011年(初出)、p195)。


*「内因性」という概念は、依然として有効なのでしょう。