精神医学における医療化と脱医療化

 これはまた後で論じたいんですけれども、精神科というのは長い間医学の中でも特殊な分科であって、他の医学から外れていたんですね。大体、精神医学が医学の中に入ってきたのは、近世になってからですし、長い間よそ者だったのが近年になって、精神医学も医学の一部であることを忘れてはならないということで、medicalizationという動きが起きたのです。しかし今度はその反動としてdemedicalization、もういっぺん精神医学を本来の姿に返そうという動きがごく最近に起こり始めたのではないかという風に思われます(土居健郎「臨床精神医学の方法論」『臨床精神医学の方法』岩崎学術出版社、2009年(初出2006年)、pp.156-157)。


*私の研究も、土居氏のいうこの「精神医学を本来の姿に返そうという動き」の末端を担うものなのでしょう。