精神対話士―「聴きだすけ」の商品化―
精神対話士とは
社会および家族関係の変化にともなって起こる人間関係の希薄化現象に注目し、物質的な豊かさだけでは埋めることのできない人間の心のさびしさ、孤独感を、専門的な知識と技能に基づく真心の対話によってやわらげ、生きる希望と勇気を与え、これからの人生に生きがいを持ち、よりよい生活を送れるよう性心的な支援を行う心のケアの専門職です。
精神対話士とは、財団法人メンタルケア協会が派遣業務(メンタルデリバリー)を委託している人に付与する協会認定の資格で、報酬を得て活動を行います(財団法人メンタルケア協会(編)『精神対話士という生き方』TAC出版、2008年、p182)。
*鷲田清一さんのいう「聴く」仕事は、近代社会ではまず家庭の「主婦」が、それがだめなら宗教団体が引き受けていましたが(天理教でいう「聴きだすけ」です)、現代日本ではついに「商品化」され始めたようです。「人間関係の希薄化を追認している」という側面があることは否めないと思います。