牧口常三郎と総力戦体制

 いわゆる「滅私奉公」は、一生に一度しか行えない理想である。この非常道徳を銃後の生活に強行しようとするには無理である(辻武寿(編)「牧口常三郎箴言集」第三文明社、1979年、p171)。

 牧口のこの言葉から、牧口が1930年代に始まった「総力戦体制」に違和感をもっていたことがわかります。牧口は、「(天皇に対する)忠義の人」である以上に、「(民衆に対する)侠気の人」だったのでしょう。