若者と境界性人格障害

星野 いろいろなことがあるでしょうが、とにかく大事なのは自殺しないこと。大きな事故を起こさないで過ごせて、ある程度時間さえたてば、人格の成熟期がかならずきます。その時にはもう病気ではないといってもいいでしょう。病気ではなくてパーソナリティの未熟性または偏りの問題として対処することができます。BDP(熊田註;境界性人格障害)の人たちはいつまでも思春期・青年期のままにいるわけですから、それを成熟させてあげればいいということになるわけです。そうなってくればだいぶ生きやすくなってくるのです。
佐藤 家族や周りの人々も、彼らとのつきあいのなかでその対応になれてきて、きっと適切な対応がしやすくなりますね。大変なことですが、必ずいい時期がくることを信じて、とにかく家族は見捨てないこと。希望をもって、愛情をもって、根気強く接していくということですね。
星野 家族に加えて、ドクター、カウンセラーもいっしょに、ですね(星野仁彦&佐藤久美子「《インタビュー》境界性人格障害の日本での状況とこれからの課題」クライスマン&ストラウス『境界性人格障害のすべて』ヴォイス、2004年、p306)。


境界性人格障害には、若者の病、あえていえば「中二病」という側面があるのでしょう。