精神病との共存

 おそらく、予想以上に多くの患者がこのように過ごしているのだと思う。こういう患者は、病いとの共存を図って、程度の差はあれ、それができている人たちだといえる。精神病との共存はやさしくない。一般に局地化されにくい病気ほど共存しにくいと私は思う。だが、不可能でないことは実例の示すとおりである。
 生涯全般にわたってこういう生活を送っている人も、精神医療を受けた時期のある人もある。こういう人が継続して精神医療を受けたほうがよかったかどうかは、距離を置いて眺め直してみる必要がある。われわれはわれわれの専門職が有効であり、あらゆる例に適用されるべきだちと考えがちである。しかし、それはすべての専門職の人間がもちやすい偏見である(中井久夫「医療における合意と強制」『世に棲む患者』ちくま学芸文庫、2011年(初出1988年)、p292)。


*さすがは中井久夫さん、「精神病との共存」は、宗教学者としてはよく理解できる発想です。


「不安障害の信仰治療についてー天理教の事例からー」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20110907/p1