パニック障害と人間性回復としての離婚
「病気はよくなったが患者は離婚した」というと、一見、治療がまずいのではないかと思われる恐れがあります。しかし、表面的にどう見えようと、自己に目覚めさせる、自分の人生の価値を高めさせる、これが精神医学の究極の治療目標だと考えればよいかなと思っています。
このようなことからわたしは、パニック障害は「人間性回復の過程をたどる病気=ルネッサンス病」だといっています。もちろん、人間性回復がすべての患者さんに幸せをもたらすとは限りません。いろいろな環境に置かれた患者さんたちの立場に応じた病気の結果というものがあるでしょう。いずれにせよ、パニック障害という病気を発病することにより、人生の生き方が大きく変えられていきます(貝谷久宣『不安・恐怖症のこころ模様』講談社、2008年、pp.146-147)。
*下記の事例は、「人間性回復の過程」が患者さんに幸せをもたらした例だと思います。
「不安障害の信仰治療についてー天理教の事例からー」
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20110907/p1