発達障害はなぜ増えたのか

神田橋 (前略)
 もちろんさっき言ったように、ちょっとした発達の遅れは昔もあったかもしれない。でも遊びの中でそれが自然に癒やされていったのかもしれない。僕はみんなにね、子ども時代にくだらんことをさせんとだめだと言っているんだ。
愛甲 くだらんこと?
神田橋 くだらんことというのは、ただただ脳の発達のためにしか役立たないこと。石投げたりへんなところにションベンしたり。そういうくだらないことを排してフランス語の塾にやったりすると、すごく脳の発達にはよくない。ピンポイントのところにしか電流が流れないからね。
岩永  ええ。その通りだと思います。
神田橋 「くだらないことをしないとだめな人になる」って言って回っているんだ。発達障害の遺伝子をもっていなくてもそうよ。有効なことばかりしている人はだめ。(後略)(神田橋條治(他)『発達障害は治りますか?』花風社、2010年、pp196-197)。


佐世保女子高生殺人事件の、エリートの両親をもち教育家族で育った加害者少女の生育歴には、「くだらないこと」をする時間が欠落していたのかもしれません。