女性(男性)の「解放」とは?

 滑稽なことだ、お前はこの世界のために、われとわが身に曳き馬の馬具をつけたのだ。


 つなぐ馬を増やせば、その分あっさりとことが運ぶ―つまり建物の基礎から石材が引っこ抜かれたのではなく(そんなことは不可能だ)、馬の革紐のほうが引きちぎられて、そのために馬だけの、空白にして楽しき行進となる(フランツ・カフカ『夢・アフォリズム・詩』平凡社ライブラリー、1996年、p167)。


*「馬」を女性(男性)に、「馬具」を女性(男性)差別に、「建物」を社会に、「石材」をジェンダー秩序に読み替えれば、このアフォリズムは女性(男性)の「解放」について語っているとも解釈できます。J・バトラーの愛読書が「カフカベンヤミン」であるというのは、よく理解できます。