「私・精神医学」者

 なお、サリヴァンについて「自分のことを題材にしているフシの多い精神科医(128頁)と評し、「「私・精神医学」者」と呼んでいるところが面白い。おそらく「「私・精神医学」者」とは私小説作家といった呼称を念頭に置いているのだろう。私小説作家的な自虐性や屈折や独善性を多く含む精神科医はいかにも厄介そうだが、自覚のもとにいくぶんかはそうした要素が入っていた方が、魅力的な精神科医となりそうな気がする(春日武彦「解説 棋譜と言葉」中井久夫『「つながり」の精神病理』ちくま学芸文庫、2011年、p337)。


*「精神医学」を「宗教学」に置き換えても、全く同じことが言えそうです。