カフカ『変身』と「食べること」

「音楽がこんなに心を揺さぶるのは、彼が動物だからだろうか。求めつづけた未知の糧への道が、示されたような気がした」。奇妙なパラドクスにより、音楽、すなわち芸術のなかでももっとも身体から切り離された(そして、グレーゴルが変身以前にはまったく評価していなかった)ものが、いまや彼に、ある糧の方向を指し示すかのようである。おそらくは、下宿人たちがむさぼり食う肉と対照的な、身体性のない、精神的な糧のありかを―(リッチー・ロバートソン『カフカ岩波書店、2008年、pp80-81)。


フランツ・カフカの小説『変身』の中心的テーマは、「愛すること」と「食べること」だと思います。