「斜めの関係」と宗教者

 児童精神科医高岡健さんの提案する「斜めの関係」というアイデアは、既に文部科学省にも取り入れられています。http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/040/toushin/07030123/002.htm
文部科学省のHP/学校は、地域の人材を活用して「ナナメの関係」をつくろう!より
「社会全体で子どもを育て守るためには、親でも教師でもない第三者と子どもとの新しい関係「ナナメの関係」をつくることが大切である。地域社会と協同し、学校内外で子どもが多くの大人と接する機会を増やすことが重要である。」


 しかし、文部科学省が高岡さんのいう「斜めの関係」の意味をあまり理解できていないと思うのは、スクールカウンセラーをその中核と考えている点です。臨床心理士は、「士(さむらい)商売」の「先生」であって、高岡さんのいう「(世俗的には偉くない)無用者」ではありません。また、心理学科の学生を教えている身としては、ヘンな人の多い心理学科でも、飛び抜けてヘンな学生がしばしば大学院に進学してカウンセラーになっている点が気になります(ヘンな人が多いのは、精神科医も同じですが)。つまり、高岡さんのいう(子どもたちの)「他者参照」の対象にはなりにくい人が、しばしばスクールカウンセラーになっているのです。
 私は、一般的には、スクールカウンセラーよりも宗教者のほうが、1.「(世俗的には偉くない)無用者」である、2.(子どもたちの)「他者参照」の対象になりうるまともな人が多い、という点で、「斜めの関係」の中核にふさわしいと思います。スナフキンに、心理学的知識が特に必要だとは思えません。