ムーミンとスナフキンの「斜めの関係」

 児童精神科医高岡健さんのいう(「無用者」との)「斜めの関係」をフィクション作品に探せば、日本アニメの昭和版における「ムーミンスナフキン」の関係がそうでしょう。「世捨て人」スナフキンとの交流がなければ、ムーミンの内面世界はずっと貧しいものだっただろうし、昭和版のアニメ『ムーミン』は、そもそも日本アニメの古典にはならなかったでしょう。昭和版の日本アニメにおけるスナフキンの「渋い大人」という造形は、トーベ・ヤンソンの原作とはまるで違います。おそらく、アニメのプロデューサーは、日本の仏教的伝統をスナフキンに重ねたのでしょう。