DV夫殺人事件に対する判決

 今日の『朝日新聞』夕刊の社会欄の片隅に、2006年12月に夫を殺害し遺体を切断して遺棄したとして罪に問われた三橋歌織被告の控訴審で、東京高裁は22日、懲役15年とした一審・東京地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却する判決を言い渡した、という簡単な記事が出ていました。しかしこの判決には、1.「被告は犯行時心神耗弱状態にあり、責任能力はなかった」という、1審における弁護側・検察側両方の医師の一致した精神鑑定結果を無視したという形式面の問題(ただし、2審で検察側が推薦した精神科医は、被告の責任能力を完全に認めています)、2.DV被害のトラウマとPTSDを軽く見ているという内容面の問題、という二つの大きな問題があります。マスメディアは、どうしてこの判決をもっと大きく取り上げないのでしょうか?


「DV夫殺人事件について」(2008年4月28日の拙ブログより)
http://blogs.yahoo.co.jp/bxr074650401/archive/2008/04/28

 渋谷のDV夫バラバラ殺人事件について、弁護側・検察側両方の精神科医が「責任能力なし」という鑑定結果を出したにもかかわらず、裁判所は「責任能力あり、懲役15年」という判決を出しました。被告女性は、「いかなる判決結果でも受け入れ、控訴はしない。」という方針だそうです。しかし、1.精神鑑定結果を無視したという手続き上の問題、2.DVのトラウマとPTSDを軽く考えているという内容上の問題、の2点において、大いに問題のある判決だと思います。DVシェルター関係者は、何かアクションを起こさないのでしょうか?
<このブログ記事に対するコメント>
 刑事事件についてのものではあるものの、この判決の寸前に出た平成20年4月25日、最高裁判所第二小法廷が出した「専門家たる精神医学者の鑑定意見等が証拠となっている場合には、これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り、裁判所は、その意見を十分に尊重して認定すべき」という判示に違背しています。
 Y子の裁判でも、高等裁判所のDVに関する理解は余りにも浅く、困っております。本当に、支援者は何かアクションを起こして欲しいです。せっかくできた「DV防止法」という法律も、存在を無視されているかと思うような現状です。


PS. 以下は、ある元DV被害者のブログからの引用です。


私は心から無罪にしてあげてほしいと思う。
だって、殺人を実行してしまった歌織さんが一番の被害者だと思うから
すでに、これだけニュースで“顔”を知られ十分過ぎるほど《罰》を受けていると思う
祐輔さん側のご両親からすれば納得いく結果ではないかもしれない
うん。きっと納得するのは無理
でも、DVを受ける側の気持ちは受けてみないと理解出来ない
歌織さんは両親からの虐待もあり今もまだPTSDが改善されていない
私とまったく同じだ・・・
幻聴・幻覚・・本当に、私は主人を殺さないですんで良かった。
歌織さんが早く闇から抜け出せることを切に願う