差別用語としての「男と女」

 「政治的な正しさ」という点から見れば、私たちが日常用いている「男」と「女」という漢字がすでに差別用語ではないでしょうか?男という漢字の語源は「田+力」、女という漢字は、「なよやかなさま」を表します。♂なら外で農作業し、♀なら家でなよやかにしているべきである、というニュアンスが拭い去れません。狩猟採集時代の男女関係は、狩猟採集の能力に男女差はほとんどないので、平等だったといいます。人類が農耕生活を始めた頃から、富と権力の不平等が発生し、本格的な男女差別が生じたそうです(山極寿一「暴力はどこから来たかー人間性の起源」日本放送協会、2007年)。「男と女」という漢字は、農耕社会の男女差別を引きずっている言葉だと思います。
 なお、「ご主人/奥さん」は、いうまでもなく主従関係を含意する差別用語です。「家の内」と書く「家内」はもちろん、「婦人」もまた、「婦」は「女へんにほうき」ですから、性別役割分業を前提とした差別用語です。