「男嫌い」と「女嫌い」

 小倉千加子さんの対談集「偽悪者のフェミニズム」(学陽書房、1991年)を読みました。

小倉 フェミニズムをやればやるほどウーマン・ヘイティング(女嫌い)が強まっていく。現実に行動に踏み込んだ女の人から、女たちは遠ざかっていくもの。「自分の現状を変えないで、しかも今よりもラクに生きられるフェミニズムをやりましょうよ」と言って、そういう人たちはそういう人たち同士で群れるわけ。」だから、自覚的にフェミニストになった人は、まわりの女たちとの差異に敏感にならざるをえない。そうしないと傷つくもん。もちろん、マン・ヘイティング(男嫌い)も強いけれど、ウーマン・ヘイティングは自覚的に強まっていく。
黒澤 林真理子さんだって、そうじゃん。行間からマン・ヘイティングが滲み出ているのに、表面では男に甘くて、女にすごく辛辣じゃない?
小倉 上野さんとちょうど好対照だね。上野さんは、マン・ヘイティングを言いながら行間でウーマン・ヘイティングしている(p243-244)。

 メンズリブ関係者にも、同じことが言えそうです。メイル・ポジティヴ(男性であることに肯定的)を標榜しながらも、アクティヴィズムを行うことによって周囲の保守的男性たちから浮き上がり、書く文章の行間でマン・ヘイティングしているのは、例えば上野千鶴子さんお気に入りの東北大学の沼崎一郎さんも同じです。