下痢の安部ちゃん?

 上野千鶴子×信田さよ子×北原みのり『毒婦たちー東電OLと木嶋佳苗のあいだー』(河出書房新社、2013年)を2時間弱でとても面白く読了しました。自信を持ってお勧めできる好著です。
 ただ、気になったのは、鼎談のなかで上野千鶴子さんが次のように語っていたことです。


 2000年代はフェミニズムにとって悪夢でしたね。悪夢のA級戦犯は、下痢の安部ちゃんよね。安部ちゃんが今度政権復帰したら(熊田註;鼎談が行われたのは、2012年12月の総選挙前)、また悪夢の時代が復活してしまうわ(同上、p80)。


 お気持ちはある程度は理解できるつもりですが、だからといって「下痢の安部ちゃん」という表現はいかがなものでしょうか?安倍晋三氏が抱えているクローン病潰瘍性大腸炎)は、厚生労働省指定の難病です。ほかにも、現代日本では、10人に1人とか5人に1人と言われるくらいざらに、下痢に悩まされている過敏性腸症候群IBS)の患者が存在します。上野さんのこの表現は、「障害者差別に通じる」と言われても仕方ないでしょう。2ちゃんねる界隈でよく使われている表現でもあります。