又吉さん、芥川賞おめでとう
又吉さん、芥川賞おめでとう。『第2図書係補佐』所収のエッセーで、手相占いを受けたとき、占い師が「35歳、あっ!」と叫んで黙ったというエピソードがありましたが、このことだったんですね。
太宰治の「恥の多い生涯」について
もし太宰治が小説『人間失格』で、「恥の多い生涯を送って来ました」ではなく「罪深い生涯を送って来ました」と書ける作家だったなら、自殺せずにすんだでしょう。才能豊かだっただけに、残念です。
小説『人間失格』における宗教心理の一考察
http://d.hatena.ne.jp/kkumata/20090721/p1
女子学生の村上春樹評
(前略)村上春樹の小説を少し読んだのですが、イライラしてきて読む気になれず、嫌悪感がはんぱなかったのですが、その理由が反フェミニストで男性優位があたり前だと思っている、一方的さが、嫌いなのだなとハッキリわかって少ししっくりしました。けれど、男女平等や女性の社会進出をうたっている日本や欧米でなんで男性優位の思想をもっている村上春樹のそれがモロに出てる小説(熊田註;おそらく授業で取り上げた『ノルウェイの森』のこと)があんなに人気なのかわかりません。世の中かなり矛盾しているなと思いました(私のジェンダー研究の授業における女子学生の小レポートより)。
*村上春樹の女性観は「聖母か娼婦か魔性のレズビアンか」だ、と教えたことを受けてのレポートです。心強いです。
『女のいない男たち』と「女ぎらい」
村上春樹の新刊『女のいない男たち』を読みました。予想通り、テーマは<ホモソーシャル>(男性間の非・性的な絆)でした。やれやれ。
すべての女性には、嘘をつくための特別な独立器官のようなものが生まれつき具わっている、というのが渡会(熊田註;語り手の男性の男友だち)の個人的意見だった。どんな嘘をどこでどのようにつくか、それは人によって少しずつ違う。しかしすべての女性はどこかの時点で必ず嘘をつくし、それも大事なことで嘘をつく。大事でないことでももちろん嘘はつくけれど、それはそれとして、一番大事なところで嘘をつくことをためらわない。そしてそのときほとんどの女性は顔色ひとつ、声音(こわね)ひとつ変えない。なぜならそれは彼女ではなく、彼女に具わった独立器官が勝手に行っていることだからだ。だからこそ嘘をつくことによって、彼女たちの安らかな眠りが損なわれたりするようなことは―特殊な例外を別にすれば―まず起こらない(村上春樹「独立器官」『女のいない男たち』文藝春秋、2014年(初出2014年)、p164)。
絵に描いたような「女ぎらい」(ミソジニー)です。ちなみに、成功した美容整形外科医である渡会の秘書は、ゲイという設定で、「同性愛嫌悪」(ホモフォビア)もきっちり書き込んであります。