「静止の心」の重要性

「いくら移動を重ねても、ただ動きまわるだけでは本当に動いたことにはならないのだ。肝心なのは静止の心である。ユープケッチャはある哲学、もしくは思想を表す記号だと思う。」(安部公房


安部公房は「ひきこもり」(笠原嘉のいう「退却神経症」)の大量出現を予言していた、と安部公房を安っぽい予言者に還元するつもりはありません。一部の「ひきこもり擁護論」に味方するつもりもありません。
 しかし、近代という時代が単に「動きまわる」ことを「動く」ことだと錯覚し、「静止」しなければ「動く」ことにならないことを忘れていた時代であったことは、確かだと思います。