2021-01-01から1年間の記事一覧

天理教と「ためし」

しかし、その後、兵四郎の目は、毎朝八時までというものは、ボーッとして遠目は少しもきかず、どう思案しても御利やくない故に、翌明治一九年正月に、又おぢば(熊田注ー天理教の聖地)へ帰って、お伺い願うと、 「それはなあ、(親神のー熊田注)手引きがす…

天理教の信仰治療ー「人たすけたら我が身たすかる」ー

天理教でおたすけを行う際の、「たすかりたい」から「たすけたい」への心の転換には、一種の認知行動療法としての側面があり、それによって、現在の精神医学では不安障害に分類されている、疼痛性障害(心因性の痛み)が治癒することはあると思います。疼痛性…

母娘関係と母殺しの物語

萩尾 完全にそう(母殺しの物語ー熊田注)ですね。萩尾さんの漫画っていつもお母さんが死ぬよねって言われたことがあって、「えっ?」って思ったのですが、そういえばあれもこれもそうだわ、と気づきました。現実で殺せないから作品の中で殺すことにしているん…

天理教の「ダメもと」医学

医者もさじを投げるような人がたすかるには、人をたすける心になることが肝要だと思います。たすかりたいから、たすけたいへと心が変わるなかで、ご守護を頂く。そういった実例は枚挙にいとまがありません(『みちのとも』2021年6月号、p11)。 *天理教の「人…

天理教教祖は強い父の夢をみたか

おやさまのお生まれになった大和国(現在の奈良県)三昧田村は藤堂藩の所領に属し、お生まれになった家は前川氏と申しまして、前川氏は藤堂藩につかえて苗字帯刀を映された近隣に隠れなき豪農にして、おやさまの父前川半七正信様は誠実温厚の聞えあり、母きぬ…

天理教教祖と周囲の反対

この不思議(神秘的な出来事ー熊田注)のために、夫善兵衛様は承知なさいましたが、親族の人等これを聞いておいおい集まってきて、全く狐狸の仕事、つきもの、狂気だ、と刀剣を持って、さまざまのものをもっておやさまを驚かし、世界の人等はまちまちの説し…

天理教教祖と夫・善兵衛ー中川よしの心の琴線

夫善兵衛様は次第に案じを抱かれて、この者の言葉に従っていては、いまにわれともども難儀の末乞食になるほかなし、と思われて、いまにこの妻を殺害するほかなし。と、ある夏のことにしておやさまが蚊帳のなかにお休みになっていたところへ、一刀の剣を携え…

アメリカ人の教会離れ

◎米国で「教会に属する人」の割合、初めて50%を下回る=ギャラップ社調査 【CJC】米ギャラップ社が3月28日発表した世論調査では、アメリカ人で教会、シナゴーグ、モスクなど宗教組織に属するいわゆる「教会員」の割合は減少が続き、2018年は5…

コメント『近現代日本における民間精神療法』

冒頭に述べたように、本書は学術的に成功しただけではなく、高価な学術論文集であるにもかかわらず、重刷され、出版は商業的にも成功した。これは、吉永も示唆しているように、本書の刊行が「時代の要請」に応えていたからであろう。私は、吉永の言う「時代…

天理教の男性カリスマの研究-関根豊松の事例-

愛知学院大学文学部紀要50号原稿(2021年3月刊行) <題名>「天理教の男性カリスマの研究-関根豊松の事例-」 <著者>熊田一雄(宗教文化学科) <要旨> 本稿では、「近代日本における宗教と男性性」という問題意識に基づいて、天理教史上有数の男性カリ…