日本人の残虐性ー地下鉄サリン事件20年に思うー

 日本人は自分が残虐な民族といわれることを心の中では承服しがたいと思っています。どの民族でも残虐行為を平気で犯す人たちが、ある比率でいます。太平洋戦争後の捕虜収容所でも相当部分は、やくざ出身の兵士が支配するところとなったという表現があります。日本人に限らないかもしれませんが、日本人が加害者になりやすい弱点を有していることはいくら強調しても足りません。すべては一時的であるという無常感(sense of ephemerity)には盾の両面があります(中井久夫「日本社会における外傷的ストレス」『関与と観察』みすず書房、2005年(初出2005年)、p24)。


*自称「原始仏教」であったオウム真理教事件にも、「日本人の無常感の負の側面」が出ていたように思います。