日本人の無常感と残虐さ

 日本人は自分が残虐な民族といわれることを心の中では承服しがたいと思っています。どの民族でも残虐行為を平気で犯す人たちが、ある比率でいます。太平洋戦争後の捕虜収容所でも、相当部分は、やくざ出身の兵士が支配するところになったという証言があります。日本人に限らないかもしれませんが、日本人が加害者になりやすい弱点を有していることはいくら強調しても足りません。すべては一時的であるという無常感(sense of ephimerity)には盾の両面があります(中井久夫「日本社会における外傷性ストレス」『関与と観察』みすず書房、2005年(初出2005年)、p24)。


*忘れることなかれ。