安倍政権の精神病理

「首相が若くして貴公子然として未知数で名門の出で、父親が有名な政治家でありながら志を得ないで早世している点では近衛文麿を思わせるかな。しかし、近衛のように、性格は弱いのにタカ派を気取り、大言壮語して日本を深みに引きずり込むようなことはしないと信じたい。(後略)」
(中略)
「卑屈と謙虚は違う。今の日本人は卑屈か尊大かだ。謙虚を徳目とした日本人はどこにいったのか。今、中国や韓国に向かって尊大なのは某国に対して卑屈な反動ではないだろうね。どこに対しても“毅然とした態度”で臨んでいるのだろうね」(中井久夫「安倍政権発足に思う」『日時計の影』みすず書房、2008年(初出2006年)、pp.194-196)


*第1次安倍政権発足時の中井久夫氏の予感は、あたりつつあるように思えます。