「男女平等」日本は105位、なんで?

http://digital.asahi.com/articles/TKY201310260345.html?ref=com_top6 より転載
「男女平等」日本は105位、なんで? 過去最低に


【高橋末菜、岡林佐和】世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界男女格差報告」で、日本は対象の136カ国中105位。2006年の調査開始以来、最も低かった。背景には、「夫が仕事、妻が家」という役割分担意識が根強いことがありそうだ。


■足引っ張る「経済」「政治」


 日本は初回調査で80位になって以降、低迷傾向だ。今年は100点満点に換算して64・98点。経済(104位)と政治(118位)が足を引っ張った。経済のうち、企業などの管理職に占める女性の比率は9%と106位。日本では「夫は外で働き、妻は家を守るべきだ」という意識が根強く、政府の調査でもその考えに賛成の人の割合は5割超。女性が仕事を続けにくい環境が影響した模様だ。
 政治でも、衆院議員に占める女性比率は8%で120位。昨年の衆院選女性候補が軒並み落選したことが響いた。調査の「癖」も関係する。調査項目のうち「過去50年間の女性首相の在任期間」は加点のウエートが高いが、日本はずっと0点だ。
 これに対し、1位は5年連続でアイスランドで87・31点。管理職に占める女性比率は33%と日本の3倍強、国会議員(一院制)の比率は4割を占める。


■厳しい世界の視線


 安倍政権は成長戦略に「女性の活躍推進」を掲げるだけに、森雅子・女性活力担当相は25日の閣議後会見で調査結果について「悔しい」と語った。
 政府は20年までに、指導的立場における女性の割合を30%にするという目標を掲げた。ただ、管理職や役員の女性比率の公表を企業に求める取り組みを今年度から始める予定で、「目標の達成は到底無理」(内閣府幹部)だという。
 海外では女性の割合を引き上げるため、企業の役員や国会議員に女性が一定割合を占めるよう義務づけたり、促したりする「クオータ制」を採用する国も目立つ。ノルウェーは06年から上場企業の役員を男女それぞれ40%以上とするよう義務づけた。欧州連合(EU)も20年までに社外取締役の女性割合を4割に引き上げる法案を審議する。
 内閣府によると、政治分野でクオータ制を導入するのは、韓国など少なくとも87カ国。日本では憲法の平等原則との兼ね合いなどから、議論は進まない。
 日本への視線は厳しい。
 WEFは昨年、日本の男女格差を埋めるための「特命チーム」を発足。政府や経済団体と改善策を検討中だ。国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事は「働く女性を増やすことで日本が抱える多額の政府債務や労働力不足に対処できる」と指摘している。


■変わらぬ企業の偏見


 日本ではこの30年近く、働く女性の6割が出産を機に仕事を辞めている。
 女性全体の就業率は6割だが、3歳未満の子どものいる女性の就業率は3割に満たない。家事や育児の負担が重いため、残業の少ないパートの仕事につく女性も多い。所得は低くなり、年収300万円以下の割合は男性の2割に対し、女性は7割近い。
 3歳の息子を育てる東京都内の社会保険労務士の女性(39)は、勤め先の上司に妊娠を伝えたとき、「子どもが小さいうちは家にいた方がいい。仕事との両立は無理」と繰り返し言われ、出産前に退職した。「出産や育児をする女性は使いづらい、と企業は考えている」