「飲み心地」ということ

 そのために一つ、これだけは覚えてください。「身体さん、身体さん、あなたの声を聞かせてね」といつも自分に言うようにしてください。自分自身にもそうだし、患者さんにもそうです。身体の声を聞く。
 薬も飲んでみて、おいしいかどうか自分に聞いてみる。「良薬は口に苦し」というのは、あれは嘘なんだよ。ほとんどの薬は自分の身体に合っていれば、飲み心地がいいんです。「飲み心地がいい」と言っても、錠剤じゃ分からんけれども、噛み潰して飲んでもいい薬は、潰して飲んでみると、喉を通るときに、「ああ、効きそうな感じ」と分かるんです。ほとんど分かります。そして、いらなくなると味が悪くなります。
 それを中井久夫先生は「飲み心地」とおっしゃっています。「飲み心地」というのは、飲んでいるときと、その後の身体の感じです。それにいつも注目するように、そちらのほうに感覚を向けるようにと患者さんを指導するの(神田橋條治神田橋條治/医学部講義』創元社、2013年、p170)。


*ピーマン嫌いの子供が多いのは、子供の脳はピーマンの苦みを毒と判断することが多いからだそうです。ですから、100%は賛成できませんが、基本的な心構えとしては役に立つ意見だと思います。