父親に対する内観/弟や妹に対する内観

 男性の場合、父親について調べているときに情動体験に達したという人が、とても多く見受けられます。人格の成長に必要な課題という視点から見ると、父親との和解はとても深い意味を持っています。父親との関係を克服するということは、その人が社会に適応していくためには必ず乗り越えなければならないプロセスです。また、若い女性の場合、弟や妹について調べているとき、もっとも感動したという人が大勢います。幼い弟や妹が自分に対してそんなにも純粋であったのかと気付き、姉として弟や妹を受容できるようになります。若い女性の場合、弟や妹とのあいだの葛藤をきっかけにして神経症が発病することが多いようですが、そこには母性の獲得という課題が横たわっています。弟や妹への内観は、若い女性にとって母性を獲得するプロセスに通じるものではないかと思われます(笹野友寿『内観療法ー漂流する現代人への心の処方箋ー』作品社、2007年、p67)。

*統計的な傾向としては、こういうことがあるのでしょう。