<女性自衛官>前線に検討

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130301-00000015-mai-pol より転載
<女性自衛官>前線に検討…政府、配置制限見直し


 心身への負担などを理由に設けている女性自衛官の配置制限を巡り、政府が見直しに向けた検討を始めた。女性自衛官が勤務できる部署を増やし、少子化による隊員不足に備えるのが狙い。火器を使って直接、前線で戦う「近接戦闘」の可能性がある部隊に、女性を配属するかが焦点となる。防衛省防衛研究所が諸外国の事例や女性の体力・精神的な課題を調査しており、1年後をめどにまとめる報告書を踏まえて、最終判断する方針だ。【鈴木泰広、青木純】
 女性自衛官は11年度末時点で、全自衛隊の5.4%に当たる1万2242人が勤務している。93年以降は、政府の男女共同参画方針を受け、配属先の部隊が順次拡大されてきた。ただ、機関銃などで近接戦闘を行う普通科中隊や戦車中隊などは「過酷な状況に女性が耐えるのは難しい」として、男性自衛官だけを配置。妊娠・出産への悪影響が懸念される化学防護隊や、男女間のプライバシー確保が困難な潜水艦など一部の部隊でも、女性配置を制限している。
 しかし、防衛省内では近接戦闘の可能性のある部隊に対する女性自衛官の配置制限について、(1)ミサイル技術の発達や海外の輸送任務の増加などにより、後方支援や輸送部隊でも攻撃を受ける可能性がある(2)女性の体格・体力が向上している−−などの理由から見直し論が浮上。「制限の線引きや妥当性を再検討すべきだ」との意見が強まった。
 配置制限は法律ではなく、防衛省の決定事項。政府は配置制限全体についても、女性の参画拡大の観点から見直しを検討する。現在は禁じている戦闘機への女性搭乗などが検討対象で、防衛省関係者は「米軍では女性兵士も戦闘機のパイロットを務めている」と指摘する。女性の入隊希望者や、国連平和維持活動(PKO)への参加希望者が増えていることを踏まえ、すでに女性が配置されている部署でも、女性の比率を向上させる方策を研究する。ただし、母性保護の観点から、一定の配置制限は維持し、見直しの範囲を慎重に見定める方針だ。
 海外では、米国防総省が1月、女性兵士が地上戦の前線で戦闘任務に就くことを禁じる軍規則の撤廃を発表した。ドイツやカナダは女性兵士に対する配置制限を設けていない。