アメリカにおけるうつ病概念の特殊性

 実のところ、欧米、特にアメリカにおけるうつ病の概念こそが、世界的に見ても特異な文化的特徴を持っている。赤の他人に感情をオープンに表現したがり、精神的苦悩をヘルスケアの問題とみなしたがる点でアメリカ人は独特だ、とカーマイヤーは続けた。ほかの文化圏では、このような心の苦しみのなかに社会的・倫理的な意味を見出すことから、もっぱら家族や共同体の長老や地元の宗教的指導者に救済を求める。自分が所属する社会の輪の外にいる医者や専門家に助けてもらおうという考えは、はなから意味をなさないのだ(イーザン・ウォッターズ『クレージー・ライク・アメリカー心の病はいかに輸出されたかー』紀伊國屋書店、2013年(原著2010年)、p234)。


*ごもっともです。